若作りはしない。でも、普通のお父さんで終わらない。残暑を快適に乗り切るための服選び

8月も後半。暦の上では秋らしい。

しかし、外に出れば普通に灼熱である。

駅まで歩いただけで背中はびっしょり。取引先に着くころには、顔だけが「本日の業務は終了しました」と訴えている。

若いころなら、多少汗をかいても「爽やかな青年」で済んだ。ところが40代、50代になると、そうはいかない。

同じ汗なのに、なぜかこちらだけ切実である。

だからといって、短パンとサンダルで商談に行くわけにもいかない。涼しさを優先しすぎると休日のお父さんになり、きちんと感を重視すると、汗だくの営業部長が完成する。

残暑のビジネスカジュアルは、なかなか難しい。

そこで今回は、暑さを我慢せず、清潔感を保ちながら、ほんの少しだけ「お、今日ええやん」と思わせる、40代・50代のビジネスカジュアルを考えてみたい。

目指すのは、若作りではない。

普通のお父さんで終わらない、ちょっと洒落たオッサンである。


残暑のオシャレは、頑張りすぎないほうがいい

オシャレになろうと思うと、つい何かを足したくなる。

流行のシャツを着て、ワイドパンツを穿き、ゴツいスニーカーを合わせ、仕上げに存在感のある眼鏡をかける。

全部を盛った結果、何者なのか分からなくなる。

若い人なら「ファッションが好きな人」で済むかもしれない。しかし、われわれオッサンがやると、休日だけ急にスタイリストを目指し始めた人に見える可能性がある。

40代・50代の服装は、定番を基本にしたほうがいい。

ただし、すべてを定番にすると、今度は会社の備品みたいになってしまう。

そこでおすすめしたいのが、

定番8割+少し洒落た違和感2割

という考え方だ。

いつものポロシャツをニットポロに変える。

ネイビーのパンツを、オリーブやチャコールに変える。

革靴を、すっきりしたローファーに変える。

全身を変える必要はない。一か所だけ、いつもと違うものを入れる。

オシャレとは、全身で主張することではない。

いつもの服を一か所だけ変えて、周囲に「あれ、今日ちょっとええやん」と思わせることである。

言われなくてもいい。

心の中で思ってもらえれば、それで十分だ。


まず大切なのは「オシャレ」よりも清潔感

残暑の服装で、もっとも大切なのは清潔感である。

どれだけ高価な服を着ていても、首元がヨレていて、背中に汗染みが広がり、シャツから昨日の居酒屋の気配が漂っていたら、オシャレ以前の問題になる。

反対に、ユニクロや無印良品の服でも、サイズが合っていて、シワや汗染みがなければ、それだけできちんとして見える。

特に気をつけたいのは、次の5つだ。

  • 首元が伸びたTシャツやポロシャツを着ない
  • 汗染みが目立ちにくい色と素材を選ぶ
  • 肌着を省略しない
  • シャツのシワと靴の汚れを確認する
  • 汗やニオイ対策を「気合い」で済ませない

暑いと肌着を着たくなくなるが、直接シャツを着ると、汗がそのまま表面に出やすい。

接触冷感や吸汗速乾のインナーを一枚入れたほうが、結果的には快適である。ベージュやライトグレーを選べば、白いシャツの下でも透けにくい。

われわれの汗は、情熱だけでは処理できない。

文明の力に頼ったほうがいい。


オッサンの残暑コーデを変える5つのポイント

1.普通のポロシャツを「ニットポロ」に変える

ポロシャツは、夏のビジネスカジュアルの定番だ。

ただし、スポーツ感の強い鹿の子ポロは、合わせ方によってはゴルフへ向かう途中に見える。

そこで取り入れたいのが、ニットポロだ。

襟があるのできちんとして見える一方、普通のポロシャツよりも柔らかく、少し上品な雰囲気が出る。

色は、黒やネイビーだけでなく、

  • くすみブルー
  • グレージュ
  • ダークブラウン
  • 深みのあるグリーン

などがおすすめだ。

派手ではないが、量産型のビジネスカジュアルから少しだけ離れられる。

注意したいのはサイズ感である。

ピチピチのニットポロは、胸板より先にお腹の存在感を伝えてしまう。体の線を拾いすぎない、少しゆとりのあるものを選びたい。


2.パンツは「細ければ正解」から卒業する

長い間、オッサンのパンツは「とりあえず細身にしておけば若く見える」とされてきた。

しかし、細すぎるパンツは暑い。

さらに、お腹まわりは立派なのに、膝から下だけ急に細いと、体形のアンバランスさが強調されることもある。

残暑には、腰や太ももに少しゆとりがあり、裾に向かって自然に細くなるテーパードパンツが使いやすい。

もう少し変化をつけるなら、太すぎないワイドスラックスもいい。

ポイントは、ダボダボにしないこと。

「少しゆったり」と「サイズを間違えた」は、似ているようでかなり違う。

丈は靴の上で生地が余りすぎない長さにする。足首が少し見える程度でも、残暑らしい軽さが出る。


3.白・黒・ネイビー以外を一色だけ入れる

オッサンのクローゼットは、油断するとネイビーだらけになる。

シャツもネイビー。パンツもネイビー。バッグもネイビー。本人の気持ちまで、ややネイビーである。

ネイビーは悪くない。むしろ頼れる色だ。

ただ、全身が同じような色になると、無難ではあるが印象に残りにくい。

そこで、コーディネートのどこか一つに、

  • グレージュ
  • オリーブ
  • くすみブルー
  • ブラウン
  • ライトグレー

を入れてみる。

たとえば、ネイビーのジャケットと白Tシャツに、オリーブのスラックスを合わせる。

これだけで、定番の安心感を残しながら、少し洒落て見える。

色で冒険する場合も、一色だけでいい。

三色も四色も入れると、オシャレというより色別対抗戦になる。


4.襟の形を変えてみる

普通のワイシャツに飽きてきたら、バンドカラーシャツやスキッパーポロを取り入れてみたい。

バンドカラーシャツは襟が低いため、首元がすっきりして見える。ジャケットを脱いでも、普通のシャツとは少し違う雰囲気が出る。

スキッパーポロは、ボタンのない開いた襟元が特徴だ。適度な抜け感があり、ニット素材を選べば上品さも保ちやすい。

ただし、胸元は開けすぎない。

胸毛やネックレスで個性を表現するのは、難易度が高い。こちらが思っている色気と、相手が受け取る情報が一致するとは限らない。

首元は、少し涼しげなくらいで十分である。


5.小物は「一点だけ」効かせる

服をすべて買い替えなくても、小物を変えると印象は変わる。

取り入れやすいのは、

  • シンプルなローファー
  • 白や黒のレザースニーカー
  • 細身のレザーベルト
  • 少しデザイン性のある眼鏡
  • ナイロンとレザーを組み合わせたバッグ
  • 文字盤がすっきりした腕時計

などだ。

ここでも、全部を主役にしないことが大切だ。

存在感のある眼鏡をかけるなら、時計や靴はシンプルにする。バッグに個性を出すなら、服は落ち着かせる。

大人のオシャレは、引き算が大切だと言われる。

われわれの場合、足し算を始めると止まらなくなるので、最初から一点までと決めておくほうが安全である。


そのまま真似できる、残暑のビジネスカジュアル3選

ニットポロ、バンドカラーシャツ、軽量ジャケットを使った40代・50代男性の残暑ビジネスカジュアル3コーデ
全部を流行にしない。いつもの服に「洒落感2割」を足すくらいがちょうどいい。

コーデ1:くすみブルーのニットポロ×チャコールのスラックス

最初におすすめしたいのが、ニットポロを使ったコーデだ。

トップスは、くすみブルーのニットポロ。パンツはチャコールグレーのテーパードスラックス。足元は黒のローファーか、装飾の少ないレザースニーカーを合わせる。

ブルーでも、鮮やかすぎない色なら派手に見えない。顔まわりが明るくなり、ネイビーよりも軽やかに見える。

ニットポロに存在感があるので、パンツと靴はシンプルでいい。

商談にも使えて、仕事終わりに食事へ行っても違和感がない。

「ゴルフ帰り」になりやすい通常のポロシャツコーデから、一歩だけ前に出られる組み合わせだ。


コーデ2:グレージュのバンドカラーシャツ×黒のテーパードパンツ

少し柔らかい印象にしたいなら、グレージュのバンドカラーシャツが使いやすい。

パンツは黒のテーパードタイプ。靴も黒で揃えると、全体が引き締まる。

シャツの袖は、肘より少し下くらいまで軽くまくる。几帳面に折りすぎるより、少しラフなくらいがいい。

ただし、シワだらけの袖を雑にまくると、「朝からいろいろ諦めた人」になる。

腕まくりにも、最低限の意思は必要だ。

グレージュは、白ほど仕事着っぽくなく、ベージュほど休日感が強くない。40代・50代の肌にもなじみやすく、落ち着いたオシャレを作りやすい色である。


コーデ3:ネイビーの軽量ジャケット×白T×オリーブのスラックス

きちんと感が必要な日は、軽量ジャケットを使いたい。

ネイビーの薄手ジャケットに、白の無地Tシャツ。パンツをオリーブのスラックスにする。

ジャケットと白Tだけなら定番だが、オリーブのパンツを入れることで少し差がつく。

Tシャツは、薄すぎず厚すぎないものを選ぶ。首元が詰まりすぎず、開きすぎないクルーネックが合わせやすい。

乳首が服を通して強い意思表示をしている場合は、インナーを入れるか、少し厚みのある生地を選びたい。

足元は、茶系のローファーでも、白のレザースニーカーでもいい。

「きちんとしているけれど、いかにもスーツの代用品ではない」というバランスを作れる。


ユニクロに“一点だけ別ブランド”を足す

今回のコーデは、高価な服で揃える必要はない。

吸汗速乾のインナー、機能性パンツ、無地Tシャツなど、土台になるアイテムはユニクロや無印良品で十分だ。

大切なのは、そこに一点だけ違う要素を入れることだ。

たとえば、

  • ニットポロだけZARAやH&Mで探す
  • バンドカラーシャツだけセレクトショップで選ぶ
  • 靴だけ少し上品なものにする
  • 眼鏡やバッグで個性を出す

という方法がある。

全身をブランド物にすると、お金もかかるし、着こなす難易度も上がる。

ベーシックな服の中に、トレンド感のあるアイテムを一つ入れるだけでいい。

最近の流行が分からなければ、YouTubeで「40代 メンズ 夏コーデ」「50代 ビジネスカジュアル」と検索すれば、いくらでも動画が出てくる。

晩酌しながら見ればいい。

ただし、酒が進むにつれて「俺もこのオレンジのワイドパンツ、いけるんちゃうか」と判断が大胆になるので、購入は翌朝にしたほうがいい。


残暑に避けたい「疲れて見える服装」

残暑は、それだけで人を疲れて見せる。

そこへ服装の疲労感まで加える必要はない。

特に避けたいのは、次のような服だ。

色あせた黒い服

黒は汗染みが目立ちにくいが、色あせると一気に生活感が出る。

「着慣れた黒」ではなく、「疲れた黒」になっていないか確認したい。

大きすぎるロゴや派手な柄

大きなブランドロゴや派手な柄は、ビジネスカジュアルでは扱いが難しい。

キャラクター物も、本人にとっては愛着があっても、仕事相手には説明のない情報として届く。

慣れるまでは無地を基本にし、色や素材で変化をつけるほうが安全だ。

ピチピチのトップス

体を鍛えている人でもない限り、ピチピチの服は清涼感より圧迫感が勝つ。

サイズ表記にプライドを持つ必要はない。

Mサイズに体を押し込むより、Lサイズをきれいに着たほうが、結果的にはすっきり見える。

裾が余ったパンツ

高価なパンツでも、裾が靴の上で何重にもたまっていると野暮ったく見える。

パンツの丈直しは、数百円から数千円でできる。

残りの人生を考えれば、十分に元が取れる投資である。


オッサンの残暑を救う持ち物

残暑の仕事中に汗を拭く40代・50代男性と、タオル、汗拭きシート、替えのインナー、制汗スプレー、軽量ジャケット
汗と香料を戦わせない。拭いて、乾かして、着替える。地味だが、これが一番効く

服装だけで、すべての汗を解決することはできない。

そこで、バッグに次のものを入れておきたい。

  • 無香料または香りの弱い汗拭きシート
  • 小さめの制汗スプレー
  • ハンカチとは別の汗拭きタオル
  • 替えのインナー
  • 携帯用の衣類消臭スプレー
  • 室内の冷房対策になる薄手のジャケット

特に使えるのが、替えのインナーだ。

午前中に大量の汗をかいても、昼に着替えればかなり快適になる。シャツを着替えるより荷物も少なくて済む。

香水や強い香りのスプレーで、汗のニオイを上書きしようとするのはおすすめしない。

汗と香料が手を組むと、本人の想像を超えた新しい香りが完成することがある。

残暑の清潔感は、足すよりも、拭く・乾かす・着替える。

実に地味だが、これが一番効く。


服が軽くなると、仕事も少し軽くなる

服を変えたからといって、仕事が急にうまくいくわけではない。

売上が増えるわけでも、会議が短くなるわけでも、上司の話にオチがつくわけでもない。

それでも、暑さでベタベタするシャツを着ている日と、涼しくて清潔な服を着ている日では、自分の機嫌が少し違う。

鏡を見たときに、「まあ、今日の俺は悪くない」と思えれば、それだけで人に会うのが少しラクになる。

40代・50代のオシャレは、若者と競争するためのものではない。

無理に若く見せる必要もない。

清潔感を整えて、定番の中に一つだけ今の空気を入れる。

くすみブルーのニットポロでもいい。

オリーブのパンツでもいい。

いつもの革靴をローファーに変えるだけでもいい。

残暑は長い。

しかし、われわれの夏まで、疲れた服装で終わらせる必要はない。

若作りはしない。でも、普通のお父さんで終わらない。

そんな小さなアップデートで、このしつこい暑さを、少し機嫌よく乗り切ってみよう。

Sponsor Banner

SECRET

会員限定のあとがき

公開記事では書ききれなかった本音や、もう少し踏み込んだ話をまとめています。

ログインして読む

次に読むなら

Related Articles

HEALTH おじさん体型をなんとかしたい人へ。ジムより先に変えるべき生活習慣