オッサンの清潔感は、才能じゃなくて点検項目で決まる
〜イケメンを目指すな。不快感を減らせ。〜
40代を超えると、怖いことが起きる。
こっちは昨日と同じ服を着て、昨日と同じ髪型で、昨日と同じ顔をしているつもりなのに、なぜか周りからの見え方だけが、じわじわ劣化していく。
若い頃は「ラフ」で済んでいたものが、ある日突然「だらしない」に変わる。
寝ぐせは「無造作ヘア」ではなくなる。
ヒゲは「ワイルド」ではなくなる。
ヨレたTシャツは「抜け感」ではなくなる。
くたびれた靴は「味」ではなく、ただの疲労感になる。
これが、おっさん化の静かな恐怖である。
でも安心してほしい。
清潔感は、才能ではない。
イケメンだけに許された特殊能力でもない。
年収や学歴や若さで決まるものでもない。
ただの点検項目である。
センスがなくてもいい。
美容に詳しくなくてもいい。
高い服を買わなくてもいい。
ただ、定期的に点検して、劣化しているところを直す。
それだけで、おっさんの印象はかなり変わる。
これは美容の話ではない。
人生のメンテナンスの話である。
おっさんは「何もしない」だけで減点される
若い頃は、何もしなくてもそれなりに成立していた。
寝不足でも肌にハリがあった。
髪にツヤもあった。
多少服が雑でも、若さが全部をぼんやり包んでくれた。
しかし40代以降は違う。
何もしないと、ちゃんと何もしていない感じが出る。
肌は乾く。
髪はうねる。
眉毛は暴れる。
お腹は主張する。
首元は疲れる。
靴は知らないうちに人生を背負いすぎる。
しかも本人は、なかなか気づかない。
なぜなら、毎日鏡で見ている自分は、昨日の延長線上にいるからだ。
昨日と今日の差は小さい。
でも、5年前の自分と今の自分を並べたら、そこにはまあまあの現実がある。
怖いのは、老けることではない。
老けたことに気づかず、昔と同じつもりでいることだ。
そしてもっと怖いのは、周りは意外と見ているということである。
「なんか疲れてそう」
「ちょっと清潔感ないな」
「仕事はできそうやけど、生活が荒れてそう」
口には出されない。
でも、なんとなく印象には残る。
おっさんにとって清潔感は、好感度を上げるためのものというより、まずは余計な減点を減らすためのものだと思う。
清潔感とは、かっこよさではなく不快感の少なさ
清潔感という言葉は、少しややこしい。
「清潔」と「清潔感」は違う。
毎日風呂に入っている。
ちゃんと洗濯している。
歯も磨いている。
それはもちろん大事だ。
でも、それだけで清潔感が出るとは限らない。
実際に清潔であることと、相手から清潔に見えることには、少し距離がある。
たとえば、洗濯済みでも首元がヨレている服は、清潔に見えにくい。
毎日洗っていても、髪がボサボサなら疲れて見える。
新品の服でもサイズが合っていなければ、なんとなく残念に見える。
高い靴でも汚れていれば、生活が雑に見える。
つまり清潔感とは、かっこよさではない。
相手に余計な不快感や不安感を与えないこと。
これに近い。
イケメンになる必要はない。
若作りする必要もない。
流行を追いかけすぎる必要もない。
ただ、相手に「この人、ちゃんとしてそうやな」と思ってもらえればいい。
仕事でも、家庭でも、人間関係でも、これは地味に効く。
営業先で話を聞いてもらいやすくなる。
初対面で警戒されにくくなる。
妻や子どもから「ちょっと汚い」と言われる回数が減る。
飲み会で昔話ばかりしていても、まだギリギリ許される。
最後のは保証できないが、少なくとも見た目の減点は減らせる。
まず見るべきは、髪・眉・肌・歯・匂い
おっさんの清潔感は、だいたい細部に出る。
まず髪。
髪型は、顔の額縁である。
ここが崩れると、全体が疲れて見える。
大事なのは、おしゃれな髪型にすることではない。
「放置していない感じ」を出すことだ。
ただし、美容院に行けば何とかなる、と思って丸投げするのは少し危ない。
美容師さんはプロだ。
でも、こちらが何も考えずに座って、
「おまかせで」
と言った瞬間、そこには中年男性特有のギャンブルが始まる。
若い頃なら、それでも何とかなった。
でも40代以降は、髪質も顔つきも輪郭も変わってくる。
昔似合っていた髪型が、今も似合うとは限らない。
だから、美容院に行く前に少しだけ準備した方がいい。
ネットで「40代 メンズ 髪型」「清潔感 メンズ 髪型」「面長 メンズ 髪型」「薄毛 似合う 髪型」など、自分に近い条件で検索してみる。
最近ならAIに、自分の顔型や髪質、仕事の雰囲気を伝えて、似合いそうな髪型を聞いてみてもいい。
できれば、良さそうな髪型の画像を2〜3枚保存しておく。
そして美容師さんに、
「こういう感じにしたいんですけど、自分に合うように調整してもらえますか?」
と見せる。
これだけで失敗の確率はかなり下がる。
おっさんの髪型に必要なのは、奇抜さではない。
清潔感と再現性である。
美容室に行く頻度を決める。
伸びっぱなしにしない。
白髪をどう扱うか決める。
整髪料をつけすぎない。
寝ぐせをそのまま外に出さない。
これだけでかなり変わる。
次に眉。
眉毛は、意外と放置されがちだ。
しかし40代以降の眉毛は、なぜか急に自由を求め始める。
長い毛が一本だけ飛び出す。
左右が妙に広がる。
眉間にもなにか生えてくる。
「そこは開拓しなくていい」という場所に、なぜか毛が出てくる。
眉を整えるだけで、顔はかなりすっきりする。
自分で難しければ、美容室や眉サロンで一回整えてもらえばいい。
一回型を作ってもらえば、あとは維持しやすい。
次に肌。
おっさんに必要なのは、美肌を目指すことではない。
最低限、乾燥と脂っぽさを放置しないことだ。
洗顔する。
保湿する。
日焼け止めを塗る。
この3つでいい。
「男が保湿なんて」と思う人もいるかもしれない。
でも、カサカサの顔で気合いを語るより、保湿して普通に働いた方がいい。
肌は根性では潤わない。
次に歯。
歯は、年齢が出る。
そして、清潔感にも直結する。
歯の色、口臭、歯石、歯ぐき。
このあたりは自分では気づきにくい。
だからこそ、定期的に歯医者に行く。
これはかなり費用対効果が高い。
高級な時計を買うより、歯のクリーニングに行った方が印象は良くなるかもしれない。
最後に匂い。
これは本当に大事だ。
おっさんの匂い問題は、本人だけが気づかないことが多い。
周りは気づいている。
でも言えない。
ここがつらい。
対策はシンプルだ。
服をちゃんと洗う。
部屋干し臭を放置しない。
汗をかいたら着替える。
靴を乾かす。
香水でごまかしすぎない。
そしてもう一つ。
ドラッグストアに行って、男性向けのにおい対策商品をちゃんと買う。
これは地味だが、かなり大事である。
加齢臭対策のシャンプー。
汗臭対策のボディソープ。
首元や耳の後ろまで洗いやすい洗浄アイテム。
脇や足に使える消臭クリーム。
汗拭きシートやデオドラント。
今は、男性向けの商品もかなり増えている。
しかも、別に高級品でなくていい。
ドラッグストアに売っているもので十分戦える。
大事なのは、「自分はまだ大丈夫」と思い込まないことだ。
加齢臭や汗臭は、ある日突然始まるというより、じわじわ周囲に存在感を出してくる。
しかも本人だけが、わりと最後まで気づかない。
だから、匂い対策は“問題が起きてから”ではなく、“問題になる前”にやる。
いい匂いを足す前に、まず嫌な匂いを減らす。
香水は最後でいい。
むしろ、つけすぎると逆効果になる。
おっさんの香水は、量を間違えると急に夜の支配人みたいになる。
匂いは、足し算より引き算で考えた方がいい。
服は高いものより、サイズとヨレ対策
清潔感のために、高い服を買う必要はない。
もちろん良い服は気分が上がる。
でも、まず見るべきは値段ではなく、サイズと状態である。
サイズが合っていない服は、それだけでだらしなく見える。
大きすぎるシャツ。
ピチピチのパンツ。
丈が中途半端なジャケット。
首元が伸びたTシャツ。
膝が抜けた部屋着のようなズボン。
本人は「まだ着れる」と思っている。
たしかに布としてはまだ着れる。
でも、外に出る服としては、もう役目を終えていることがある。
服には寿命がある。
破れていないから大丈夫、ではない。
ヨレたら終わり。
くたびれたら終わり。
なんとなく生活感が出すぎたら終わり。
これは冷たいようだが、服にも引退試合が必要である。
特におっさんは、服の数を増やすより、定番を整えた方がいい。
白シャツ。
無地Tシャツ。
きれいめのパンツ。
シンプルなジャケット。
清潔なスニーカーか革靴。
このあたりを、自分の体型に合うサイズで揃える。
それだけで、かなりちゃんとして見える。
ただし、定番だけで固めすぎると、少しだけ“無難すぎるおじさん”になることもある。
別にそれが悪いわけではない。
でも、ほんの少しだけ今っぽさを入れると、雰囲気は変わる。
全部を流行に寄せる必要はない。
むしろ、全身トレンドにすると事故る。
おっさんが急に若者ファッションを全部取り入れると、頑張りすぎた休日のお父さんになる危険がある。
だから、1点だけでいい。
ユニクロの定番アイテムをベースにして、その中にZARAやH&Mなど、少しトレンド感のあるファストファッションを1点だけ入れる。
たとえば、いつもの無地Tシャツとパンツに、少し今っぽい羽織りを足す。
シンプルな服装に、少し形のきれいなパンツを合わせる。
定番のジャケットの中に、少し色味のあるインナーを入れる。
それだけで、「ちゃんとしているけど古くない」感じが出る。
ただし、トレンドを入れるといっても、いきなり派手な柄物やキャラクターものに手を出すのは注意した方がいい。
もちろん、似合う人は似合う。
キャラクターTシャツや総柄シャツをかっこよく着られるおっさんもいる。
ただ、それはけっこう上級者である。
慣れていない状態で、急に大きなロゴ、派手な柄、強い色、キャラクターものを入れると、清潔感より先に「頑張ってる感」や「若作り感」が出てしまうことがある。
最悪の場合、休日のショッピングモールで迷子になった中年男性みたいになる。
だから最初は、無地か、控えめな柄でいい。
色も、白・黒・ネイビー・グレー・ベージュ・カーキあたりから始める。
柄物を入れるとしても、細いストライプや控えめなチェックくらいで十分である。
おっさんのトレンド導入は、火力調整が大事だ。
いきなり強火にしない。
弱火でじっくりいく。
まずは、ユニクロの定番にZARAやH&Mの少し今っぽいアイテムを1点だけ。
しかも、派手すぎないもの。
このくらいが、失敗しにくい。
大事なのは、全部を変えようとしないことだ。
ベースはユニクロでいい。
高い服でなくていい。
ZARAやH&Mを1点だけ混ぜるくらいで十分である。
しかも今は、トレンドを勉強するのも簡単だ。
YouTubeを見れば、ユニクロ、GU、ZARA、H&Mのおすすめアイテムを紹介している動画がいくらでもある。
昔みたいに、雑誌を買って、よく分からない外国人モデルを見ながら「これは俺に関係あるのか」と悩む必要はない。
晩酌のときにでも、スマホで10分見ればいい。
ハイボールを飲みながら、
「今年はこういうパンツがええんか」
「このシャツなら俺でもいけるかもな」
くらいで十分である。
それだけで、次に服を買うときの失敗が減る。
おしゃれ上級者を目指さなくていい。
まずは「不自然じゃない」「ヨレてない」「サイズが合っている」。
そこに、ほんの少しだけ今っぽさを足す。
このくらいが、おっさんにはちょうどいい。
靴とカバンに生活感が出る
意外と見られているのが、靴とカバンである。
顔や服は気にしていても、靴が汚れている人は多い。
カバンがパンパンで、レシートや書類や謎のコードが飛び出している人もいる。
靴とカバンには、生活の管理状態が出る。
靴が汚れていると、なんとなく詰めが甘く見える。
カバンがぐちゃぐちゃだと、仕事もぐちゃぐちゃそうに見える。
実際はそんなことないかもしれない。
でも、印象とはそういうものだ。
靴は磨く。
汚れたスニーカーは洗う。
かかとがすり減った靴は修理するか替える。
カバンの中身は定期的に捨てる。
不要な紙を溜めない。
パンパンにしない。
これもセンスではない。
ただの管理である。
清潔感は、自分を大事にしている感じでもある
清潔感を整えるというと、他人からどう見られるかばかり考えがちだ。
もちろんそれもある。
でも本当は、自分自身への扱い方でもあると思う。
髪を整える。
服を選ぶ。
靴を磨く。
歯をきれいにする。
肌を保湿する。
におい対策をする。
どれも小さいことだ。
でも、その小さいことを積み重ねると、少しだけ自分を雑に扱わなくなる。
40代以降は、仕事も家庭も責任も増える。
気づいたら、自分のことは後回しになる。
家族のこと。
会社のこと。
お客さんのこと。
支払いのこと。
将来のこと。
考えることは山ほどある。
そんな中で、自分の見た目まで気にしてられるか、という気持ちも分かる。
でも、だからこそ最低限のメンテナンスは必要なのだと思う。
車でも、家でも、会社でも、メンテナンスしなければ傷む。
人間も同じだ。
気合いだけで走り続けると、どこかが摩耗する。
そして、その摩耗は見た目にも出る。
清潔感を整えることは、若作りではない。
まだ自分を諦めていないという、小さな意思表示である。
イケメンを目指さなくていい。不快感を減らせばいい。
おっさんの見た目改善で一番大事なのは、目標設定を間違えないことだ。
いきなりモデルを目指さなくていい。
急に美容男子にならなくていい。
全身ブランドで固めなくていい。
若者の流行を無理に追わなくていい。
むしろ、それをやると事故ることもある。
目指すべきは、イケメンではない。
不快感を減らすこと。
疲労感を減らすこと。
生活の荒れを減らすこと。
放置感を減らすこと。
これでいい。
髪型を調べる。
髪を切る。
眉を整える。
歯医者に行く。
服のヨレを捨てる。
靴を磨く。
ドラッグストアでにおい対策商品を買う。
姿勢を少し正す。
これだけで、かなり変わる。
おっさんの清潔感は、才能ではない。
センスでもない。
生まれ持った顔面偏差値でもない。
点検項目で決まる。
そして点検項目なら、誰でもできる。
今日できることは、ひとつでいい。
伸びた眉毛を切る。
ヨレたTシャツを捨てる。
靴を拭く。
歯医者を予約する。
化粧水を買う。
シャンプーやボディソープを変えてみる。
晩酌しながら、ユニクロやZARAのおすすめ動画を一本見る。
その程度でいい。
人生を劇的に変える必要はない。
でも、ちょっとだけ自分を整える。
それだけで、明日の自分が少しマシに見える。
そして40代以降は、その「少しマシ」がけっこう大事だったりする。
おっさんは、放っておくと勝手にくたびれる。
でも、少し手を入れれば、ちゃんと持ち直す。
清潔感とは、若さへの抵抗ではない。
自分を雑に扱わないための、最低限のメンテナンスである。