40代になると、お金の不安は急に現実味を帯びてきます。
子どもの教育費、住宅ローン、親のこと、自分の老後。
見ないふりをしても、通帳の残高は情に流されてくれません。

とはいえ、いきなり資産運用の勉強を始めたり、保険を全部見直したり、節約仙人みたいな生活を始める必要はありません。
まずやるべきことはシンプルです。

今のお金の状態を、一回テーブルの上に出すこと。

冷蔵庫の奥で賞味期限切れのタレが発見されるように、家計にも「なんでこれ払ってるんやろ?」という支出が眠っていることがあります。

40代のお金の見直しは、気合いではなく棚卸しです。


40代のお金の不安は、だいたい同時に来る

20代、30代の頃は、お金の悩みもまだ単発だった気がします。

「今月ちょっと使いすぎたな」
「ボーナス入ったら戻せるやろ」
「まあ、なんとかなるか」

若さという名の謎の無担保ローンで、気持ちだけは何とかなっていました。

でも40代になると、そうはいきません。

住宅ローンはまだ残っている。
子どもの教育費はこれから増える。
親の健康も気になり始める。
自分の老後も、ぼんやり遠くではなくなってくる。
そしてなぜか体重と固定費だけは、こちらの許可なく増えていく。

40代のお金のしんどさは、ひとつひとつの問題が大きいというより、全部が同じタイミングで来ることです。

だからこそ、なんとなく不安になります。

でも、お金の不安は「なんとなく」のままだと大きく見えます。
逆に、数字にすると少しだけ小さくなります。

怖いのは金額そのものより、見えていないことです。


まず見るべきは収入より「固定費」

お金の見直しというと、多くの人はまず収入を増やそうとします。

もちろん収入アップは大事です。
めちゃくちゃ大事です。
できるなら、した方がいい。僕もしたい。

ただ、40代の家計で最初に見るべきは、収入よりも固定費です。

固定費とは、毎月ほぼ自動的に出ていくお金のことです。

たとえば、

  • 住宅ローン、家賃
  • 保険料
  • スマホ代
  • サブスク
  • 車関係の費用
  • 通信費
  • 教育費
  • 習い事
  • クレジットカードの分割やリボ払い

このあたりです。

固定費が怖いのは、使っている感覚が薄いことです。
毎月静かに引き落とされていくので、財布から現金を出す痛みがありません。

でも、月1万円の固定費は年間12万円。
月3万円なら年間36万円。
10年続けば360万円です。

ちょっとした中古車です。
いや、車種によってはまあまあ良い車です。

節約というと、コンビニコーヒーを我慢するとか、昼ごはんを削るとか、そういう話になりがちです。
もちろん無駄遣いを減らすのは大事ですが、40代がまず見るべきなのはそこではありません。

毎日の小さな我慢より、毎月勝手に出ていく大きな支出を見直す方が効果は大きいです。

おっさんが昼飯の唐揚げを一個減らして悲しい顔をする前に、まず固定費です。


保険は“安心料”ではなく“設計”で見る

40代の家計で、見直し効果が出やすいもののひとつが保険です。

ただし、ここで大事なのは、保険を悪者にしないことです。

保険は必要な人には必要です。
家族がいる人、住宅ローンがある人、子どもが小さい人、事業をしている人。
万が一のときに、残された家族を守る役割があります。

問題は、今の自分に合っているかどうかを確認していないことです。

若い頃に入った保険を、そのまま何となく払い続けている。
独身時代の保険が、家族構成が変わってもそのまま。
子どもが生まれたのに保障額を見直していない。
逆に、必要以上に入りすぎている。

こういうケースは普通にあります。

保険を見るときは、まず次の3つを確認します。

  1. 誰のための保障か
  2. いつまで必要な保障か
  3. いくら必要な保障か

この3つが言えない保険は、一度見直し候補に入れていいと思います。

「なんか不安だから入っている」
「昔、知り合いにすすめられた」
「よく分からないけど安心っぽい」

この状態は、保険というより、お守りの月額課金です。

お守りが悪いわけではありません。
でも、月額課金のお守りは、たまに中身を確認した方がいい。

40代の保険見直しは、解約が目的ではありません。
必要な保障を、必要な期間、必要な金額で持つことが目的です。


住宅ローンは放置せず、金利と残債を確認する

住宅ローンも、40代のお金の見直しでは外せません。

住宅ローンは金額が大きいので、少しの違いが将来に効いてきます。
とはいえ、難しい計算をいきなりする必要はありません。

まず確認するのは、この4つです。

  • 借入残高
  • 金利
  • 返済期間
  • 毎月返済額

この4つを見れば、だいたい現在地が分かります。

特に金利タイプは確認しておきたいところです。
変動金利なのか、固定金利なのか。
今後金利が上がった場合、返済額がどうなるのか。

住宅ローンは、契約したときには一生懸命考えます。
でも、その後は驚くほど放置されがちです。

家を買ったときのテンションは、だいたい引っ越しの段ボールと一緒にどこかへ行きます。

ただ、住宅ローンは人生最大級の固定費です。
だからこそ、年に1回くらいは残高を見ておくべきです。

借り換えが必ず正解というわけではありません。
繰上げ返済も、すればいいというものではありません。
手元資金を残すことが大事な家庭もあります。

大事なのは、放置しないことです。

「今、いくら残っていて、あと何年払うのか」

これを知っているだけでも、お金の不安は少し整理されます。


教育費はざっくりでも見える化する

子どもがいる家庭にとって、教育費はかなり大きなテーマです。

しかも教育費の怖いところは、親の気持ちが絡むことです。

子どもにはできるだけのことをしてあげたい。
習い事も、塾も、進学も、できれば応援したい。
でも、財布には限界がある。

この葛藤、なかなかしんどいです。

教育費は、細かく完璧に計算しようとすると嫌になります。
なので、まずはざっくりで十分です。

たとえば、

  • 小学校
  • 中学校
  • 高校
  • 大学
  • 塾、習い事
  • 受験費用
  • 一人暮らしの可能性

この項目ごとに、大まかにいくらかかりそうかを書き出します。

正確でなくていいです。
まずは「いつ頃、大きなお金が必要になるのか」を見ることが大事です。

教育費は、ある日突然やってくるように見えます。
でも実際には、だいたい来る時期は分かっています。

分かっているのに見ない。
これが一番怖い。

おっさんの体重計と同じです。
乗らなければ増えていない気がする。
でも現実は、ベルトがちゃんと報告してくれます。

教育費も同じで、早めに見える化しておけば、準備の仕方を考えられます。


老後資金は怖がるより、現在地を出す

老後資金という言葉には、妙な圧があります。

老後2,000万円問題。
年金不安。
物価上昇。
退職金の減少。

こういう言葉を見ていると、何となく不安になります。
そして不安になった結果、逆に何もしなくなる。

これはよくあります。

でも、老後資金もまずやることは同じです。
現在地を出すことです。

確認するのは、このあたりです。

  • 今の預貯金
  • 投資信託やNISA
  • iDeCo
  • 退職金の見込み
  • 年金の見込み
  • 住宅ローンの残り
  • 老後も続きそうな支出

ここまで出すと、ぼんやりした不安が少し具体化します。

「全然足りないかも」と思うかもしれません。
でも、それでも見た方がいいです。

なぜなら、40代ならまだ打ち手があるからです。

毎月の積立額を少し増やす。
保険を見直して浮いた分を老後資金に回す。
固定費を削る。
働き方を考える。
副業や事業収入を作る。
住宅ローンの返し方を見直す。

20代のように時間がたっぷりあるわけではありません。
でも、60代直前で初めて焦るよりは、まだずっとマシです。

40代は、老後資金に対して「遅すぎる」時期ではありません。
ただし、「何もしなくても何とかなる」と言い切れる時期でもありません。

つまり、ちょうど現実を見る年頃です。

嫌ですね。
でも、大人ってそういうものです。
健康診断と一緒です。行きたくないけど、行った方がいい。


やってはいけないお金の見直し

お金の見直しで大事なのは、焦らないことです。

不安が強いと、人は極端な行動をしがちです。

ここでは、40代がやりがちな失敗を3つ挙げます。

焦って投資商品に飛びつく

老後資金が不安になると、急に投資に興味が出ます。

それ自体は悪くありません。
むしろ、資産形成は大事です。

ただし、「これをやれば増えるらしい」というノリで商品に飛びつくのは危険です。

投資は、何に投資するかも大事ですが、
それ以上に、何のために、どれくらいの期間、どれくらいのリスクでやるのかが大事です。

よく分からないものに大きなお金を入れるのは、見直しではなく勝負です。

40代のお金の見直しに必要なのは、一発逆転ではありません。
負けにくい設計です。

保険を全部解約する

保険料が高いからといって、全部解約するのも危険です。

特に家族がいる人は、万が一の保障が必要な場合があります。

見直すべきは、保険の有無ではなく中身です。

保障が足りているか。
払いすぎていないか。
目的に合っているか。
期間は適切か。

この確認をせずに、保険は無駄だと決めつけるのは乱暴です。

保険は敵ではありません。
でも、味方にするには設計が必要です。

家族に黙って一人で抱える

お金の悩みを一人で抱える人は多いです。

特に男性は、家族に心配をかけたくないと思いがちです。
それは優しさでもあります。

ただ、家計は一人で背負うには重すぎることがあります。

収入、支出、教育費、住宅ローン、老後。
全部を一人で考えると、だんだんしんどくなります。

家族にすべてを細かく説明する必要はありません。
でも、今の状態とこれからの方針は、少しずつ共有した方がいいです。

お金の話は、責めるためにするものではありません。
一緒に現実を見るためにするものです。

「ちょっと家計を整理したい」
「将来の教育費を一回見ておきたい」
「保険とかローンとか、今のままでいいか確認したい」

このくらいの温度感で十分です。


40代が今月やるべき棚卸しリスト

では、実際に何をすればいいのか。

まずは今月、この5つだけで十分です。

  1. 毎月の固定費を書き出す
  2. 保険証券を集めて、月額保険料と保障内容を見る
  3. 住宅ローンの残高と金利を確認する
  4. 子どもの教育費が大きくかかる時期を書き出す
  5. 老後資金として今ある資産を合計する

これだけで、かなり見えてきます。

ポイントは、いきなり正解を出そうとしないことです。

まずは現状把握。
次に優先順位。
最後に具体的な見直し。

この順番です。

いきなり全部やろうとすると、だいたい途中で嫌になります。
そして書類を閉じて、冷蔵庫から何かを取り出します。
人間とはそういうものです。

だから、まずは1時間だけでいいです。

保険証券、住宅ローン明細、通帳、クレジットカード明細。
このあたりを机に出す。

それだけでも、もう見直しは始まっています。


お金の不安は、数字にすると少し小さくなる

40代のお金の不安は、消えるものではありません。

住宅ローンもある。
教育費もある。
老後もある。
親のこともある。
自分の健康もある。

正直、まあまあ忙しいです。
人生の中間管理職みたいな時期です。

でも、不安を放置すると、ずっと頭の片隅に残ります。

通帳を見るたびにモヤッとする。
保険料の引き落としを見てモヤッとする。
子どもの塾代を見てモヤッとする。
老後資金の記事を見て、そっとスマホを閉じる。

そのモヤモヤは、数字にすると少しだけ扱いやすくなります。

足りないなら、どれくらい足りないのか。
払いすぎているなら、どこを見直すのか。
備えが足りないなら、何を優先するのか。

見えると、動けます。

お金の見直しは、人生を一気に変える魔法ではありません。
でも、生活の不安を少し減らす現実的な作業です。

40代からでも遅くありません。

まずは、家計の引き出しを一回開けてみる。
そこに何が入っているか見る。
いらないものは捨てる。
必要なものは残す。
足りないものは、これから準備する。

お金の棚卸しは、未来の自分への片づけです。

そしてたぶん、片づけた後のほうが、晩酌もちょっとだけうまいです。


まとめ

40代からのお金の見直しで大事なのは、完璧な資産運用でも、極端な節約でもありません。

まずは、今のお金の状態を見える化することです。

  • 固定費を確認する
  • 保険の目的を見直す
  • 住宅ローンの残高と金利を見る
  • 教育費の時期を把握する
  • 老後資金の現在地を出す

この5つだけでも、お金の不安はかなり整理されます。

お金の問題は、見ないふりをしても消えません。
でも、見た瞬間に少し小さくなります。

40代は、まだ十分に立て直せる時期です。
焦らず、でも放置せず。

まずは今月、一度だけ家計の棚卸しをしてみましょう。

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会員限定のあとがき

公開記事では書ききれなかった本音や、もう少し踏み込んだ話をまとめています。

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