ウナギは高い。スーパーの蒲焼を見ても、専門店のうな重を見ても、そう簡単には手が伸びません。
ところが2026年は、前年のシラスウナギ豊漁を受け、一部のスーパーが国産蒲焼の予約価格を前年より下げています。さらに5月には、卵から育てた完全養殖ウナギの一般向け試験販売も始まりました。
完全養殖そのものは2010年に世界で初めて成功しています。それが2026年、研究室の成果から一般販売の入口まで進んだわけです。まだ気軽な値段ではありませんが、ウナギをめぐる景色は少しずつ変わっています。
そんなニュースを眺めていると、ふと思います。
ウナギ、近所の川で釣れないだろうか。
じつはウナギ釣りは、立派な竿も高価なリールもいりません。夏の夕暮れに2時間だけ。手持ちの道具とミミズがあれば始められる、かなり生活感のある釣りです。
ウナギは意外と普通の川にいる
ウナギというと、大きな川の深場や、いかにも魚がいそうな自然豊かな場所を想像します。
けれど、実際は街中の川にも普通にいます。狙うのは流れの速い瀬や、竿が届かないような深場ではありません。
比較的浅く、流れがゆっくりした場所。岸際に石積みや護岸ブロックがあり、草や倒木など、体を隠せる障害物があるところです。
昼間に川を見て、ウナギが身を隠せそうな場所を探しておくと、暗くなってから慌てません。ただし、立入禁止の護岸や私有地には入らないこと。足場が悪い場所では、釣果より安全を優先します。
また、河川によっては遊漁券が必要です。都道府県の規則、漁協の遊漁規則、禁漁期間、禁止区域、体長制限を釣行前に確認してください。明らかに小さい個体は、その場で逃がします。
夏なら18時から20時の2時間だけ
私の感覚では、ウナギを狙いやすい本番は春先から梅雨あたりです。
真夏になると、人間のほうが暑さで参ります。ウナギの食いも落ちやすく、細い個体が交じることも増えてきます。
それでも夏に行くなら、夕暮れ時だけに絞ります。目安は18時ごろから20時ごろまで。日が落ち始めてから暗くなるまでの2時間です。
それ以降もまったく釣れないわけではありません。ただ、私の場合は食いが落ちたと感じることが多く、翌日の仕事もあるので20時で切り上げます。
短時間で終えると決めておけば、家族にも説明しやすい。これも大人の釣りでは、案外大事です。
エサはその辺のミミズ。最低10匹、できれば20匹
エサはミミズです。釣具店で買ってもいいのですが、湿った土や落ち葉の下で取れるなら、それで十分です。
最低でも10匹。できれば20匹ほど用意しておくと安心です。
ウナギに食われる前に小魚につつかれたり、投げた拍子に外れたりします。数匹だけでは、いい時間帯にエサ切れになりかねません。
ミミズを探すときは、他人の畑や管理された公園を勝手に掘らないこと。自宅の庭など、採ってよい場所に限ります。
針には、ミミズが動くように少し余らせて付けます。きれいに見せる必要はありません。適当に付けて、川底に置いておけば大丈夫です。
竿とリールは手持ちのものでいい
竿は2mくらいあれば十分です。エギングロッドでも、少し硬めのルアーロッドでも構いません。
リールも専用品はいりません。シマノでいえば2000〜3000番クラス。そのくらいの小型スピニングリールなら使えます。
ラインはナイロン2号以上。高価なものではなく、安いナイロンラインで十分です。
むしろ大事なのは、竿を地面に直接置かないことです。簡単な竿立てを使い、ウナギに引き込まれないようドラグを少し緩めておきます。
暗くなるので、手元用のライトも必要です。川面を照らし続けるのではなく、エサ付けと片付けに使います。
仕掛けは驚くほど単純
仕掛けは、道糸に中通しオモリを通し、その先にサルカンを結びます。サルカンがオモリのストッパーになります。
サルカンの反対側には、糸付きのウナギ針を結ぶだけです。
オモリの重さは流れに合わせます。流れがほとんどない場所なら2号程度から始め、仕掛けが転がるようなら少し重くします。
針は大きすぎないものが使いやすく、10号から12号くらい。初心者なら、ササメなどの糸付きウナギ針が楽です。
針を結ぶ手間が減るだけでなく、釣れたあとに仕掛けを切って交換しやすくなります。

投げたら、鈴が鳴るまで待つ
仕掛けを障害物の少し手前へ投げ、底まで沈めます。あとは竿先に鈴を付け、ドラグを少し緩めて待つだけです。
アタリは、最初から竿を持っていくような派手なものとは限りません。鈴が小さく鳴り、竿先が細かく動くことがあります。
ここですぐにアワセないのがコツです。
ウナギはエサを口に入れては吐き、また食べるような動きを繰り返すことがあります。小さなアタリのあと、少し待ってしっかり飲み込ませます。
糸が続けて出る、竿先が重く曲がるなど、明らかに持っていったところで竿を立てます。
待っている間も竿から離れないこと。置き竿は、魚だけでなく竿ごと川へ持っていかれることがあります。
釣れたら無理に針を外さない
ウナギは釣り上げてからが忙しい魚です。体をくねらせ、ラインと仕掛けをあっという間に巻き込みます。
まずフタ付きのバケツや容器へ入れます。素手でつかもうとせず、濡らした手袋やタオルを使います。
針を深く飲み込んでいるなら、無理に引き抜きません。サルカンの先でハリスを切り、糸付き針ごと交換します。傷を広げるより早く、仕掛けの作り直しも簡単です。
持ち帰るときは、現地の水を入れたフタ付き容器へ。氷を直接入れる必要はありませんが、真夏の車内で水温を上げないよう、日陰に置いて早めに帰ります。移動が長いなら小型のエアポンプがあると安心です。
持ち帰って捌くときの注意
元気なウナギを、そのまま押さえて捌くのは素人には難しいものです。
私はフタ付きの袋や容器に入れたまま冷凍庫へ置き、10分ほど待って動きを鈍らせます。これは完全に凍らせる時間ではなく、作業しやすくするための目安です。冷凍庫の温度やウナギの大きさで差があるため、まだ激しく動くなら無理に始めません。
動きが落ち着いたら、目打ちでしっかり固定し、よく切れる包丁で捌きます。難しいと感じたら、経験者や対応してくれる魚屋に頼むほうが安全です。
ここで一つ、大事な注意があります。
ウナギの血液には血清毒があり、目や口、手の傷に入ると炎症などを起こすことがあります。手袋を使い、血が付いた手で顔を触らないこと。生食はせず、中心まで十分に加熱してください。
厚生労働省によると、血清毒は60℃で5分加熱すると毒性を失います。通常の蒲焼や白焼きのように、しっかり火を通して食べれば問題ありません。
近所の川で、夏の夕方を2時間だけ使う
ウナギ釣りは、遠征して一日を使う釣りではありません。
近所の川を昼間に見ておく。夕方にミミズを付けて投げる。鈴の音を聞きながら、暗くなるまで2時間だけ待つ。
竿もリールも、いま持っているものでいい。足りなければ、糸付きの針とオモリ、鈴を買い足すくらいです。
もちろん、毎回釣れるとは限りません。それでも、街の川を「魚がいる場所」として眺め直すだけで、いつもの夕方が少し違って見えます。
暑さが落ち着くころ、家から近い川を一本だけ見に行ってみてください。ウナギが隠れられそうな石積みがあれば、次の夕暮れが少し楽しみになります。
参考にした公的・一次情報
- 完全養殖ウナギ蒲焼の試験販売|水産研究・教育機構
- 2026年「土用の丑の日」予約商品と価格見直し|イオンリテール
- 内水面の遊漁に関する制度|水産庁
- 自然毒のリスクプロファイル:魚類・血清毒|厚生労働省