マグロのサクを買ってきて、醤油に漬ける。
言ってしまえばそれだけなのですが、づけマグロは意外と差が出ます。高いマグロを買うかどうかより、最初の水気をどうするか。どの形で漬けるか。漬け地をどれくらい濃くするか。
こういう地味なところで、晩酌の満足度はけっこう変わります。
料理に限らず、何事も下処理がものをいう。
づけマグロは、その感じがかなり分かりやすい一品です。
まず水気を拭く。ここが一番大事です
マグロは、漬ける前にキッチンペーパーで水気を拭きます。
これは一番大事です。
表面に水分が残っていると、漬け地がぼやけます。醤油の味が入る前に、余計な水っぽさが邪魔をします。せっかくのマグロも、少しだらっとした味になります。
難しいことはしません。
キッチンペーパーで包んで、表面を軽く押さえるだけです。
ゴシゴシ拭かなくていいです。身を傷めます。
表面の水分を取るくらいで十分です。
こういう一手間は、派手ではありません。家族にもたぶん褒められません。
でも、食べると分かります。
サクのまま漬けるか、切ってから漬けるか
づけマグロは、サクのまま漬ける方法と、切り身にしてから漬ける方法があります。
どちらが正解という話ではありません。
食べたい方向が違います。

サクのまま漬ける
サクのまま漬けると、味が入るのは主に周囲です。
中心には生のマグロらしさが残ります。
食べたときに、外側は醤油の香り、内側は赤身の感じ。刺身らしさを残したいなら、こちらが向いています。
ただし、時間はかかります。
短時間だと、表面だけに味がついた感じになります。
切り身にしてから漬ける
切り身にしてから漬けると、漬かりは早いです。
表面積が増えるので、味が入りやすい。
その代わり、全体的に表面が少し溶けたようになって、かなりねっとりします。
これはこれでうまいです。
特に丼にするなら、切り身で漬けた方がご飯になじみます。
刺身としてつまむならサク。
丼にするなら切り身。
まずはこれくらいの分け方でいいと思います。
表面だけ湯に通すやり方もあります
少し寿司屋っぽい技として、表面だけ湯に通してから漬ける方法もあります。
いわゆる霜降りに近いやり方です。
表面だけ軽く固めてから漬けるので、身の表面が溶けにくくなります。
味は入るけれど、だらっとしにくい。
少し手間は増えますが、刺身感を残しながら味を入れたいときには面白いです。
漬け地は、醤油・みりん・酒を1:1:1から
基本は、醤油、みりん、酒を1:1:1です。
この漬け地で、だいたい2時間くらい。
濃すぎず、甘すぎず、作りやすいです。
ただ、もっと早く食べたいときは、醤油を多めにして2:1:1にするのもありです。
その場合は1時間くらいでも、わりと味が入ります。
面倒なときは、割っためんつゆでも構いません。
家飲みのつまみなので、毎回きっちりやらなくていいです。
ちゃんとやる日があってもいいし、めんつゆで済ませる日があってもいい。
目安としては、漬け地をなめてみて「濃いな」と思うなら1、2時間くらい。
「飲めるかも」くらいの味なら、半日くらい漬けてもいけます。
醤油とみりんを変えると、味が変わります
づけマグロは、醤油を変えるとけっこう印象が変わります。
今は出汁醤油、牡蠣醤油、甘めの醤油など、いろいろな醤油が普通に売られています。ドラッグストアでも見かけるくらいです。
高いものを買えという話ではありません。
いつもの醤油を少し変えるだけで、づけの方向が変わります。
酒は、正直そこまで大きくは変わりません。
ただ、みりんは変えると分かりやすいです。
少しいいみりんを使うと、味が丸くなります。
甘さがただの甘さではなく、少し華やかになります。
こういうところに小遣いを少し使うのは、けっこう楽しいです。
大葉は、漬け地に入れてもいい
薬味は、あとからのせるだけではありません。
漬け地に大葉を入れるのもいいです。
刻んでもいいですし、そのまま入れてもいいです。
そのまま入れるなら、手で一度軽く叩いてから入れます。香りが出ます。
ワサビを少し溶かすのもありです。
ただし、ワサビを入れすぎると、全部がワサビ味になります。
最初は少しだけで十分です。
昆布、いりごま、卵黄で別方向にも行けます
昆布を入れると、味が増します。
マグロのねっとり感も強くなります。
少し酒のつまみ感が出ます。
いりごまや砂糖を入れて、最後に卵黄を落とすやり方もあります。
九州の「りゅうきゅう」っぽい方向です。
これはもう、かなりご飯に合います。
晩酌のつまみというより、締めの丼に近づきます。
正解は、自分の好みでいい
づけマグロに、絶対の正解はありません。
サクのまま、刺身っぽさを残す。
切り身にして、ねっとり丼向きにする。
濃い漬け地で短時間。
薄めの漬け地で半日。
大葉、ワサビ、昆布、卵黄で方向を変える。
どれもありです。
ただ、最初に水気を拭く。
ここだけは、やった方がいいです。
こういう下処理がものをいう。
その一手間があるだけで、同じマグロでも少しちゃんとしたつまみになります。
週末の夕方、マグロのサクを見つけたら、少しだけ仕込んでおく。
夜には、ちょうどいい一皿になります。